ステンレス

材料の知識 - ステンレス

真空業界ではオーステナイト系ステンレスの『SUS304』が主に使われている。
またそれ以外に、マルテンサイト系、フェライト系、二相系、析出硬化系に大きく分けることが出来る

オーステナイト系ステンレスの特徴

加工性・溶接性に優れ、他のステンレス系と違い磁性がない。

また、膨張係数が大きく、熱伝導率が低い。

応力腐食割れに感受性があるため、特に溶接部の応力集中に注意する必要がある。

溶接性は、マルテンサイト系、フェライト系、二相系に比べ良い。

うちSUS304系は溶接性が良好。

溶接割れ性として、ニッケル、モリブデンの量が高い材料は、高温割れに敏感。

特にクレーターが割れやすく、クレーター処理など溶接作業を工夫する必要あり。

低温強度、靭性に強い。

真空装置部品では、磁性があると問題になるケースもあるため、特段の理由がない限りこの材料を使用する。

SUS304
真空部品全般、一般化学設備、原子力用、食品設備等最も広く使用されているステンレスである。 熱膨張率が大きく、耐熱温度が700℃-800℃程度なので、真空チャンバー内で1000℃以上の高温にする場合は、必ず水冷パイプ又は水冷ジャケット等の冷却が必要。 熱膨張率はSS400(鉄)と比較し1.5倍程度になる。
SUS304L
真空部品全般、一般化学設備、原子力用、食品設備等最も広く使用されているステンレスである。 熱膨張率が大きく、耐熱温度が700℃-800℃程度なので、真空チャンバー内で1000℃以上の高温にする場合は、必ず水冷パイプ又は水冷ジャケット等の冷却が必要。 熱膨張率はSS400(鉄)と比較し1.5倍程度になる。
SUS310S
耐酸化性がSUS304以上のSUS309Sより優れ、耐熱鋼として使われる。 耐熱温度は1000℃程度と言われている。耐熱性は、SUS304<SUS316<SUS309S<SUS310Sになる。SUS304と比較し4倍ほど高価な材料になる。 主にチャンバー内部の部品やターゲット受けなどに使用される事が多い。
SUS316
SUS304にNi(ニッケル)の割合を増やし、Mo(モリブデン)を2-3%添加した鋼種。耐酸性、耐熱性が向上する。Moは非常に高価な元素なので材料もその分高価になる。耐孔食材料。 SUS304と比較し6割高な材料になる。
SUS316L
316の極低炭素鋼、316の性質に耐粒界腐食性をもたせたもの。 SUS304に比べ7割ほど高価な材料になる。
SUS303
被削性、耐焼付性向上。自動盤用として最適。

フェライト系ステンレスの特徴

磁性あり。

溶接割れ性として、溶接の際、冷間割れに注意が必要。通常予熱が必要。

炭素、ニッケルを低減した鋼種では、割れ感受性は小さく、γ系の溶接材料を用いるときは予熱不要(例:SUS410L)。

溶接熱影響部は硬く、もろい。

後処理を行えば、靭性、延性が回復する。

炭素、ニッケルを低減した鋼種では溶接のままでも、靭性がある。

SUS440C
全てのステンレス鋼・耐熱鋼中最高の硬さをもつ。ノズル、ベアリング。

二相系ステンレス(オーステナイト・フェライト系)の特徴

SUS329J1
二相組織、耐酸性、耐孔食性に優れかつ高強度。排煙脱硫装置。
SUS329J3L
硫化水素、炭酸ガス、塩化物などを含む環境に抵抗性がある。油井管。
SUS329J4L
優れた耐孔食性、耐SCC性がある。海水熱交換器、製塩プラント。

なぜ錆びにくいのか

鉄にクロムを合金化させていくことによりクロム密度の高い、薄い均一な「不働態皮膜」が形成される。この膜がステンレスの錆びにくさのベースである。

クロム濃度が高ければ皮膜がより強固になり、腐食しにくくなる。

クロム、モリブデンには不働態皮膜を補修する機能がある。

注意点として、ある一定条件化では「不働態皮膜」の破壊が促進される。

材質とは別に、真空チャンバー等ではステンレスの表面に不働態化処理を行う場合がある。不働態化処理とは、ステンレス鋼の表面に酸化クロム層を強制的に形成して発錆を防止するようにする処理のことをいう。

弊社では焼取り工程にて専用の装置を使用し溶接ビードに不働態化処理を行っている。また全体に処理の必要があれば、その工程を付加する。

なぜ、オーステナイト系ステンレスの使用率が高いのか

それは、他のステンレスに比べあらゆる面でバランスの取れた材料なため。詳細は別途述べる。